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 あの次の日、先生達が話しているのを耳にした。  ある生徒が脅かされてお金をとられそうになったらしい。その場をたまたま近所の人が通りかかって、脅かしていた者はすぐに逃げていったようだ。近所の人は六時を過ぎて暗くなっていたこともあり、顔はよく見えなかったらしい。  一抹の不安が私の中にはあった。あの日、吉永君はどこに行ったのだろうか。 塾や習い事をしているという話は聞いたことがない。週の同じ曜日で決めているのかと考えて、あの日と同じ曜日に後をつけてみたが、そのときも電車に乗って行ってしまった。  習い事ではない。だとしたら、あの日吉永君は……と考えてしまったが、思い過ごしだろうと頭をふった。
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