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 吉永君は外壁の角で立ち止まり、その先をのぞきこんでいるようだった。まるで誰かを追っているように。  外壁沿いに来たために学校を半周した形になった。その先は校舎の裏側になっており、裏口を入る以外は校門へと戻る道しかなかった。  この道を通る者はまずいない。せいぜい、学校関係のゴミ収集か給食センターの業者が出入りするくらいである。  少しして吉永君はまた歩き出した。その時、左手にはナイフが握られているのが見えた。  はっとして私は走った。まずいことが起きる。そんな予感がした。
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