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 朝というのは必ず訪れるものだ。  幼い頃、もし朝が来なくて、ずっと暗い夜のままだったらどうしようかと不安になったことがあった。今では朝が来なければいいのにと思う。そうしたら学校に行かなくて済むのだから。  冬の分厚い雲が朝の日差しを隠してしまっているせいで、寒さが増している気がする。私はコートのポケットに手を突っ込んで、俯いたまま歩いた。  校門の前で吉永君に会った。彼は私に会釈をして学校の中に入っていった。  あの日以来、彼のことを見るたびに今日もナイフを持っているのだろうかと考えてしまう。  あんな物を持っていたって、他人も自分も怪我をするだけなのに。  そう思いながら、私も学校に入った。
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