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 ホームルームの後、吉永君は理科準備室へと向かっていった。理科の先生に、クラスで誰か一人掃除を手伝ってほしいと言われたとき、吉永君が名乗り出た。  理科準備室の掃除といっても大袈裟なことはしない。せいぜいあまり使われていないビーカーやフラスコを洗ったり、ゴミを捨てるくらいだ。丁寧にしたとしても一時間もかからないだろう。  しかし、その程度の時間稼ぎで充分だった。  吉永君が掃除を終えて、学校を出た。私は彼を待ち伏せして後をつけた。どうしても彼がナイフを持った姿が目に焼き付いて、離れなかったのだ。
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