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 分厚い雲は朝からずっと太陽を隠し、まだ五時過ぎだというのに暗くなっていた。校庭では運動部が練習していたが、冬は夏の半分ほどの人数しかいない。校庭を照らす照明器具は多くない。そのため外の運動部は近くの運動場を借りて練習することになるのだ。  閑散とした校庭で練習する運動部の威勢のいい掛け声が、数百メートル離れた私にも届いていた。  私は自分がいつも帰る道と逆方向に行く吉永君の後を追いながら、自分のしていることが無意味のような気がしてきた。
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