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「―…ゴホンっ!では、ゼロは今から書庫へ行って前任の司書官に解任書類と指導官任命の手続き書類を持って行ってもらう」
先程のやり取りでちょっと取り乱した側近に書類を渡された。
「はい。(……前任の司書官って誰だ?)」
受け取りながら、首をひねっていると、足元にモフモフ獣に戻った魔王様がちょこちょこっと寄ってきた。
「ゼロがんばってな☆」
脚に擦り寄ってこられたので片膝を付いて頭を撫でると嬉しそうに尻尾が揺れる。
「っ!!ゼロ!任務に向かうように!!」
モフモフにちょっと癒されている所に側近の厳しい声が聞こえたので、立ち上がり一礼をして書庫へ向かう事にした。
※(魔王様ズルいですよ!!)(お前はいつも邪魔するな!!)なんて言い合ってるのはもちろんゼロ聞こえてない※
―魔王家直属書物庫―
「いつも遠目でも大きいとは思っていたがこれほどまでとは……」
お城程の大きな建物の前で暫く眺めていると声が掛かる。
「あ、あの!!」
見ると、祭服を着た2人の美少年が立っていた。
「司書官になられたゼロ様、ですよね?」
「僕達、この書物庫の門番をしています!!」
門番というには程遠い華奢な感じなのだが、魔族には見た目と力が比例しない者が多い…多過ぎるので割愛。
「ああ、すまない。余りにも俺が想像する『書物庫』とかけ離れていたから……?2人とも、顔が真っ赤だが大丈夫か?」
自分を見てくる2人の門番の顔が赤く、ちょっと心配になってきた。
「だ!大丈夫です!!」
「お気になさらずに!!」
わたわたと焦っているが熱でもあるんだろうか?
熱でも計るか。
「……よし、熱はないな」
自分の額と少年の額をくっつけてみたが熱はないみたいで安心した。昔から、母親に『熱は額で計ると良く分かるのよ☆』と教えられ(擦り込まれ)ており、いくつになってもつい、実践してしまう。
「……!!!!!」
額を離すと少年がパクパクと金魚みたいに口を動かしている。もう一人の少年にも額をくっつけてみたが熱はない。
「よし、2人とも大丈夫だな。ではな。」
2人の頭をクシャっと撫でて、書物城へ向かう。
「「さすが天然!!!」」
その後すごく良い顔で鼻血を垂らした美少年門番2人が目撃されたとかないとか。
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