幕開き

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 アルぺリアス皇国、マルタ地方。穏やかな気候と自然に恵まれ、視界いっぱいに広がる緑豊かな平原。  平原には街道がはしり、さまざまな人々が盛んに行き交い、穏やかな風が流れる。  道を南に行けば、たどり着くのがこの地方で最も栄えている貿易都市リーナイト。  朝早くから市が開かれ、色々な物が取引され、賑わい、活気があふれ、様々な品々が集う場所。  今でこそ活気盛んに賑わい平和な都市であるが、かつては圧制等により権力者によって苦しめられていた。  だが民衆は多数の犠牲と苦難を乗り越え、独裁的な権力者は汚職や税の不正な押収、数々非道な行いの証拠を抑えた民衆によって打倒され。  人の業か時代の流れか。後に中央、時の皇帝の計らいによって自由を手に入れた。  かつての都市の大きな傷後もなど、豊かとは言えないが安穏とした日々を送り、徐々にだが忘れ去られている。  道を辿ろう。  都市から幾つもの街道が延びているが西に向かう街道沿い、その先に行けば生命が満ち溢れた森の入り口にたどり着くだろう。  森の中には多数の命が育まれている。色とりどりの花が咲き乱れる花畑、多くの薬草も存在し、恵まれた自然を感じ取れる一部だ。  また森には古き巨木が幾つも存在し、その内の一本の抜きん出た巨木などは、森の守り神として崇められていた、それに相応しい神秘的な風格も感じ、思わず息を止めてしまうほどの雄大さだ。  しかしながら森の守り神と知っているものはそう多くはない。  道を辿ろう。  さらに森に続く街道のやちまたを東南にいけば見えてくるのが、ひっそりと存在する誰もが見慣れたほのぼのとした。およそ人口数十名程度の普通の小さな村。  ここはマルタ地方で勇者の出身地と知られている農村アッタ。  今、物語がこの農村アッタから始まろうとしていた。
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