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―世界にただ一つの宝石も
―豪奢なドレスも
―至高のワインも
全てが、酷く色褪せて見える。
全てが、とても退屈。
繰り返し送られる讃辞も。
美しい吟遊詩人の謡いも。
「私は、その全てに、飽いている」
そう、気づいてしまってからは急速に。
この世界は、酷く、息苦しく、つまらないモノになり果てる。
それは最早苦痛でしかない。
未来永劫、私は飽いたこの世界で生きなければならない。
「―なんて言う、拷問」
私は、この世界から、逃げ出してしまいたかった。
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