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目を瞑ると深い闇が訪れる。
成すがままに身を委ね、安息を得ようとするもなかなか意識までは飲み込まれなかった。
当然と言えば当然なのかもしれない。
俺、青田 輝(あおた てる)は考える事を止めないのだから。
正確に言えば、一人の少女のことが頭から離れないのだ。
十和 輝欄(とわ きらん)
俺の幼馴染みだった少女。
だった、という言い方にしたのは、
既に彼女がこの世の存在ではないからだ。
有り体に言えば、輝欄は既に死んでいる。
彼女が亡くなったのは、今から大体一年前。
そんな昔の事を未だに引きずっているのか、と言われれば、
そうだ、としか答えられないが、そこにはきちんとした理由がある。
俺は昨日の今日まで輝欄が生きているのだと信じ込んでいた。
それは彼女に生きていて欲しかった、などという願望とかいった生易しいものではない。
完全な妄想。
俺は現実に彼女と共に行動し、彼女と喋り、彼女と手を取り合った。
全てが思い込みの中で。
振り返れば、ただの気持ち悪い電波野郎で、何かに取り憑かれていたとしか思えない。
けれど、確かに俺は幸せな日々を過ごしていたんだ。
輝欄と街へ出掛けた事。
輝欄の頭を撫でてやった事。
輝欄に励まされた事。
俺にとって、生きていく上で輝欄が必要不可欠な存在だったんだ。
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