7人が本棚に入れています
本棚に追加
だけど……
そんな妄想がいつまでも続く程、世界は単純に出来ていない。
居ないはずの少女の存在は現実との間に摩擦を生み、やがては弾け飛ぶ。
昨日、ついにその日が訪れてしまった。
結果……
一年近く現実逃避したツケを一気に食らい、俺という廃人が出来上がっただけだった。
例えれば、長年に渡ってヅラであることを妻に内緒にしていて、結婚記念日のサプライズでバラしたようなものだ。即離婚である。
逃避やめ
当否問うため
頭皮見せ
やかましわ
……くだらない事を考えてしまった。
だが、多少のお茶目は赦して欲しい。
そうでもしないと、俺は虚無感と不安とで押し潰されそうなのだから。
実際に、死にたいとすら思っている。
輝欄のいない世界には何の未練もない。
けれど、だからと言って自殺など出来るのか? いいや、出来ない。
走っている電車へダイブ?
首吊りでヘブンへゴー?
リストカットで一人血液噴水?
そんな気力が残っていたら、今こうして家のベッドで餓死でもしないかなー、と不貞寝などしない。
つまり、俺の存在は宙に浮いているのだ。
生きる事を望んでいるわけでもなく、また、進んで死ぬわけでもない。
中途半端で、この世から持て余された人間。
それが今の俺、青田輝の姿だった。
最初のコメントを投稿しよう!