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「もうお母さん早く!アラガミ来るよ!!」
「ちょまっ!メイクが全然のらないのよねー」
はぁ… と私はあきれる
母はいつもこうで、あまり頼れない感じ
私たちは家から
一旦街へ出て近くの物陰に隠れながら
アラガミが周囲に居ないか気を付けながら少しずつ進む
「ごめんごめん、いこっ」
母が支度を済ませる
「まだあいつら近くにいないからってのんびりしすぎだよ」
「まぁまぁまぁまぁ」
遠くを見ると
崩れた建物の上に煙が上がっていた
「そう長くはない、はやくいこ!」
私たちは走った
「ちょっ、雪!早いよちょっと待って…きゃっ!!」
走るのが苦手な母は
派手に転んだ
「ハイヒールなんて履いてくる!?普通!」
手を貸そうと駆け寄ろうとした一瞬だった
バッ
黒い影が目の前を物凄い速さで通りすぎ
同時に母は消えていて
片方のハイヒールが残っていた
え、 なに?
グジャッ…
横から奇妙な音が聞こえた
「……!?きゃあああぁあぁあっ!!」
そこに見たのは
巨大なアラガミに噛み付かれ、腹部がえぐられ、口から血を吐いて死んでいる
母の姿
血の海が広がり
乾いた空気が 血の湿り気と母の香りと混ざり合い
猛烈な吐き気が襲った
グギャアアッ
バキッ グショッ
アラガミは母を噛み砕く
「ア…、お…かあ…さん…」
私は膝をつく
さっきまでの母はもう無くて、肉の塊が血の海に浸っている
グオアアアアッ!!
アラガミは次に次にと、雪菜に襲い掛かる
「おか…あ…」
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