あの日

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私とアイシスは しばらく黙ったままフェンリルへ歩いていた 朦朧とする頭で 私はふと、家族との日々を思い返していた 寒さが肌に突き刺さる2月 寒い寒い北の島で私は産まれた 両親は暖かく、優しい人だった 一番古い思い出は お父さんと おままごとか何かをしていたことかな。 父は優しく笑う いわゆる紳士的な人だった 私が泣いたときは 困ったように 眉を八の字にして私を抱き抱え、 背中をトントンと優しく叩いてくれた 母もそんな父には負けず 元気で明るい人だ いつでも笑顔を絶やさず 私と父をよく笑わせてくれた その頃からアラガミは出没しだしてきていたが、 ホントに暖かくて、幸せな日々だった だけど “あの日”を境に 私たち家族の運命の歯車が狂い始めた 6年前 「早紀!!アラガミだ!近くに来ている。避難しよう!!」 私が12歳の頃に、近くに避難命令が発令された 「パパ?どこいくの?お出かけ?」 私は何もわからずにいた 「雪菜、お化けが近くに来てるから逃げるんだ。さぁはやく靴をはいて」 「あなた!フェンリルの部隊が迎えに来てくれるみたいよ!」 母はテレビのニュースを見ながら言う 「ばかやろう!!そんなの待ってるくらいなら、近くの避難所へ急いだ方がいい!急ぐぞ!!」 私はただ、必死に走る父の背中に乗り、 訳がわからないまま 過ぎる景色と、粉々に砕けた街を眺めていた 『ウーッ ウーッ 只今アラガミ奇襲 避難命令発令中 住民の皆さんは直ちに避難所へ避難してください』 街に響く緊急アナウンスの音 父にはいつもの雰囲気は無く、額に汗を浮かべ真剣な目をしていた。 母もその後を追う 突然父が止まった 「あー、財布忘れたな…取りにいくわ!!早紀、雪菜を頼む。先に行っててくれ!!」 そう言い捨てると、父は反対方向へ走っていった 「さ、雪菜。いこっ」 母と手を繋ぎ走る 私はふと父の方を見た が、もう曲がり角にいた父はすぐに消えてしまった 「パパ大丈夫?」 「だーいじょうぶよ!!パパ足速いんだから!」 母はにかっと笑って見せた 「うんっ」 私と母はひたすら走った
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