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満月の輝く闇夜。
人通りの少ない路地に佇む小さな空き家。
そこでは『火災』が起きていた。
紅蓮の炎が立ち上ぼる廊下に立っていたのは、身長160cm近くの若い婦警。
彼女は有毒ガスを含んだ煙を吸わないよう、布で口を覆っていた。
本来なら一刻も早く建物から離脱すべき状況である。
しかし何かがおかしい。
奇妙だった。
彼女は逃げるのではなく、銃を構えていた。
まるで何者かに立ち向かうかのように
逃げるよりも優先すべき事が彼女にあったのだ。
……それは
「人々は思った。年々明らかに『殺人事件』が増え続けている」
男性の声。
角を曲がる先の廊下に大きな人影が映る。
「皆が明らかに不自然だと思った。表沙汰では麻薬中毒者の増加と騒がれたが、その実は……」
「何かが蠢いている。人類を脅かす程度の何かが……」
姿を現したのは『生不動』、火に包まれた異形の人間。
いや、人間であるのかどうかすら定かではない。
そんな化け物を目の前にして、婦警は勇敢にも戦う意思を見せていた。
……全ては数時間前にさかのぼる。
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