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もうさっさと終わらせて自分の部屋に戻る、そうしないとオレの心は粉々にされてしまう。
「……はぁ」
どうせこの部屋の住人も普通じゃないんだろう、気が重くなる。「誰だテメェは」
「んえ?」
不意に後ろから声をかけられ情けない声が出る。
「人様の部屋の前で何突っ立ってんだよ?」
敵意丸出しな口調だがオレの目がおかしくなければ目の前にいるのは女性だ。しかも中々の別嬪さん、赤い髪がとても目立っている。
「オレ、コレカラ、ココニ、スム」
マズイ、心が疲弊し過ぎて変な片言になってしまった。
「あ?なんだお前外人か?」
変な誤解を生んでしまったようだ。
「まぁ、テキトーに頼む」
彼女はそう言って部屋に戻ろうとする。
「ま、待ってくれぇっ!!」
思わずオレは彼女の腕にしがみつく。今なんて言った?彼女は”ヨロシク”みたいなことを言ってたよな?多少言動がぶっきらぼうだが此処の住人の誰よりも常識的じゃないかっ!!
「て、テメェなにしやがんだっ!?」
彼女は思い切り腕を振り払う、驚くほど強い力だ。
「此処に来てようやくまともな人に会えたんだ、もう少しオレを癒してくれっ!!」
今に思うとこの時のオレはトンデモない変態だった気がする。
「お、おま、このっ……離しやがれっ!」
その言葉と同時にオレは宙に浮いた、二階から真っ逆さまである。
「く、クソっ!いきなりアタシに触りやがって……」
彼女はそのままそそくさと部屋に戻って行く。
そしてオレは急降下。
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