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国土の大部分を砂漠に覆われたハッサンという国は魔科学時代に突入してからも変わることなく科学の優位を貫いていた。
そのハッサンの南部にあるパラシアという都市では日々戦争のための兵器が生産されていた。
人口は300万。治安こそ悪いがこの混迷の世では珍しいほど活気に溢れた街だった。そう、街だった。
人と物が行き交い、科学時代最大の発明と言われた車が止むことなく通るあの街が、たった一日にして消えた。
街は恐ろしいほど静かで、立ち並んでいたビルは地にひれ伏す。西の空へと沈もうとする太陽の光は何も遮る物がない街全体を金色に染めた。
両脇にお店が並び、その間にある道路を多くの車が走ったロンド通りも今は何もない。その何もない通りにとても小さな2つの人影が浮かぶ。
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