第1章〈ここは冥府?〉

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 ここにいても事態が変化しそうな気配はなかった。霧は少しも晴れない。オジサンの後を追って歩いていくしかなさそう。  とはいえ、どこまで歩いていけばいいのだろう。  ここまで来るのにどれくらい歩いたのか実感がない。距離的にも時間的にも。何キロ歩いたのか、何時間歩いたのか。そんなにも歩いていないのかもしれないし、かなり歩いてきたのかもしれない。疲れもせず、暑くも寒くも感じないのが、それを曖昧にさせていた……。そもそも今、何時なの? 夜になれば暗くなる?  もっとも、ここが死後の世界なら、そんな浮き世の感覚が失せて感じられなくなっていたとしても道理か……。たぶん、いつまでたっても夜は来ないだろうし、霧だって晴れないだろう。
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