第1章〈ここは冥府?〉

15/23
221人が本棚に入れています
本棚に追加
/426ページ
 そんなことを思いつつ、あたしはオジサンの、異様に横幅の広い背中を見つつ歩く。そして、この人の死因はきっとこの体型にありそうだ、と余計なことを思った。なにをやったらこんなに太るのだろう、見るからに生活習慣病がいっぱい潜んでいそうな体だ。本人は死んだ自覚がないようだから、動脈硬化による心不全で急死したのかもしれない。  あたしの後ろには、おじいさんがいた。こちらの死因はわからない。まだお迎えが来るような年齢であるようには見えない。が、なにか持病をかかえていたのかもしれない。  三人とも縦一列に並んで無言だった。ただ黙々と、戦場に向かって行軍しているかのよう。  道は、合流して広くなってはいたけれども、三人肩を並べて談笑しながら、ダラダラ歩くということはなかった。そんな雰囲気はなかったし、そんなことになりそうなメンツでもなかったから、あたしもなにかを話しかけようとはしなかった。
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!