第1章〈ここは冥府?〉

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「あの二人に聞けば、なにかわかるかもしれない」  オジサンは希望的観測をこめてそう言ったが、たぶんその二人もなにも知らないだろうと、あたしは思った。  道は合流した。そして先ほどの受け答えの繰り返し。予想通り、結局、だれもなにも知らなかった。ただ、ここがあの世ではないかという意見をオバサンが支持した。  オバサンの最後の記憶は、クルマに撥ねられたところだった。  体がくるくる回りながら宙をとび、視界は地面と空が目まぐるしく変わっていった、という。あの状況ではとても助からないだろうと。
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