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朝。
幸せな夢を、終わらせたくないという思いを無視するかのように目覚ましがなる。
無機質なその音。
そう、今日もまた見てしまった。
幸せな夢。
私と君が、笑って話している。
その一場面は、きっと私の記憶の隅にあるもの。
それが、夢を通して映写される。
そして、君は私の手を握った。
夢の中でさえ、感じてしまいそうな君の手のぬくもり。
音なんて存在しない。
この夢に音は存在しない。
あるのは、幸せそうに笑う私。
そして、愛しい君だけ。
そんな夢から目覚めた私に残るのは、空しさ。
そして、過去の悔い。
それから逃れようと、私はベットから出た。
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