友達脱出大作戦。

いち。

俺の席は廊下側の一番うしろ。あいつは窓際の一番うしろ。晴れた日にはあいつの明るい髪が光るのを見るのが俺の楽しみ。

退屈な数学の授業はあいつの観察タイム。

あいつは真面目な顔でノートをとっている。そんな横顔を見ていると、たまに目が合う。笑うとあっちも笑い返してくる。

これが食事に対比する幸せ。

キーンコーンカーンコーン

あいつがひょこひょことこっちに歩いてくる。

｢なぁなぁ、ちゃんと授業聞いてたー？｣

｢聞いてたー｣

嘘やないもん。見ながら聞いてたもん。