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だが、竜哉は避けようともしなかった。
それどころか、笑っていた。
「俺はな、京子を助ける為にここに来た。けれども、途中で太陽、委員長、彰太までも失った。正直、俺だって怖かった。絶望した。だけどな、今、俺はお前達を助けられる。さぁ、来いよ」
苦しそうな叫び声を発しながら、太陽が竜哉の首筋に噛みついた。
幽霊だが、実体があるかのように竜哉の首筋が赤く染まる。
「くっ……、太陽、一人にしてすまなかった」
次に彰太が肩に噛みついてくる。
「ぐああっ! 彰太、あの時は引っ張れずに悪かった」
最後、京子は竜哉の顔に手をやった。
「京子、痛かっただろう? そうか、わかったよ。俺の目、くれてやるから、代わりに俺の目になってくれ」
京子が竜哉の目に手を掛けた。
「これで、お前達を救えるな。そうだろ、オタク。俺が死ねば、解放するんだろ!?」
達彦は答えない。
だが、それは十分な回答だ。
達彦は黙って、倒れゆく竜哉を見つめる。
倒れ込む間際、竜哉は達彦に向かって片手をあげた。
それを見た達彦の目から大粒の涙が流れた。
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