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そして、一斉に沸き起こる、手拍子付きのキスコール。
「お願いです、助けて下さい!」
男は、泣きじゃくる彼女を抱きしめ、4人の影に向かって震える声で必死に命を乞うた。
「あれ、ひょっとして、キスしないのか?」
白けたとばかりにキスコールが止む。
「仕方ないなぁ、やり方を教えてやるか」
すると、突然、男女は上から頭を掴まれた。その手は大きく、ごつごつとしていて、明らかに人間の手ではない。
だが、男女はそれが何なのか、一瞬にして把握した。
友人のひとりを殺したあの“化け物”だ。
「ひっ、いやぁああぁあぁぁぁっ!」
女がその手から逃れようと抵抗するが、その化け物の力の前にはまるで無力。
それは男も同じで、遂に男も死への恐怖に嗚咽を漏らし始めた。
「ほら、キスの仕方を教えてやってよ」
影の指示で、化け物は強引に2人を向き合わせる。
けたたましい骨の砕ける音は、彼らの即死の証拠だ。
4人の影が発する狂喜の笑い共に、鮮血が天井まで飛び散った。
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