1話 始まりは5月から

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僕が初坂高校に入学して一ヶ月位たった頃、やっと僕もクラスに馴染んできていた。 みんな中学がバラバラだったから始めは静かなクラスだったけど、今じゃもう隣のクラスの担任が注意しに来るくらい騒がしくなっていた。 あっ、言うの忘れていたけど僕の名前は岡田中十(おかだなかと)。 初坂高校一年A組出席番号5番。 これといった特徴が無く、髪が少し長いだけのどこにでもいる普通の高校生だ。 いきなりだけど、人は悲しい過去や辛い思い出とかってみんな一つや二つは持っているかもしれないけど、僕にはそういうのが全く無いんだ。 別に、その事を自慢したい訳じゃない。 ただ、それが無いのと同じように、いい思い出や楽しかった記憶とかも僕には無かったんだ。
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