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では、『F1民に知られてはならない世界』とも言えるアメリカンレースと、『日本レース界の正史』とも言えるヨーロピアンレース界はどのように歩んできたのかという話になる。
ヨーロピアンレースもアメリカンレースも生い立ちの時期としてはあまり変わらない。産業革命が進み自動車が誕生すると自然に競争しようという流れになるのだろう。勿論、日本レース界はこの流れからは大きく遅れることになる。
世界最初の自動車レースとされている「パリ~ルーベ」やその流れで行われていたレースは公道をひたすら走るロードレースで(当然と言えば当然)、もっと言えば、マス(同時)スタートですらなかった。いわば「ラリー」方式である。
一方、アメリカンレースはこの時期に早くも「ジ・アメリカンレース」の第一回が開催される。その名は『インディ500』。その年のインディカーのレベルがどれだけ鑑賞に耐えないものであってもこのレースの価値だけは衰えない。大げさではなく、『インディ500さえあれば、後はどうだっていい』『他のレースはインディ500へのプラクティスにすぎない』と言えてしまうほどの大レースである。最初は競馬場跡地ではあったものの、今まで舗装が変わりF1用ののコース―――2006年のF1アメリカGPとは黒歴史の代名詞だ―――が申し訳程度に作られた程度で、大きなレイアウトの変革はない(むしろしようがない)。このオーバルコースではマススタートを行わなければ訳が分からなくなるのだ。そして、この巨大なレースを背景にしてアメリカ中でレースが開催される。レーサー達は現代のF1サーカスよろしくの巡業をこなしていた。そしてそのコースは木張りのオーバルトラック。理由は単純、「片付けができる」。
ここで重要なのは、既にアメリカンレースは『娯楽として完成している』という事実である。そして、この面に関しては『絶対にF1が勝てるわけがない』のだ。「F1だってDRSとかでオーバーテイクを」と思ってしまうみじめなあなた、ではなぜ『DRSを付けなければならない』のでしょうか?本当に面白いスポーツにはテコ入れはされない。もし、サッカーでペナルティーエリア外からのシュートが2点と決められたら「改悪」って騒ぎますよね?でもF1は『そうしないと負けると思い込んでる』。では何に負けるのか?娯楽性が発展しているアメリカンレース以外にない。
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