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山下くんのリードのおかげで、スムーズにインタビューは終わって。
休憩室にふたりきり。
嬉しいような、怖いような、ぐちゃぐちゃになりそうだけど。
意を決して話を切り出した。
「昨日はご迷惑かけてすみませんでした…でも、どうして山下くんも今日仕事なんですか?」
「…」
「あの…僕変なこと言いました…?」
しばらくの間の後、小さくため息が聞こえて。
「…昨日お前は病院にいた!俺も病院にいた!…これでわかるだろ」
「!!」
山下くん、ちょっと耳が赤くなってる。
確かに、こんなこと言わせてる僕がいけないよね…。
「ごめんなさい!全然気付かなくて…」
「もういいよ…」
山下くんは一言告げてケータイをいじりだした。
どこか寂しげな表情で画面を見つめる姿は、すごく綺麗で、でも切なくて。
ただ、笑ってほしくてやたら頑張ろうとする僕がいた。
「そうだ、僕の友達が山下くんのファンなんですよ!すごい僕自慢とかしちゃって、えばっちゃったりして…」
「…うるさい…」
「…え…?」
「友達だとか、ファンだとかうるさいんだよ!!」
怒鳴り声がしたと同時に突き飛ばされて、僕は床に倒れた。
「そんなこと言って、俺の何が欲しいの?そうやっていろいろ奪って俺を売っていくんだろ?…もううんざりなんだよ!」
口調は怒ってるのに、表情は今にも泣きそうで。
「違う」って否定したかった。でも、そんな山下くんの顔を見てたら何も言えなくて。
「ごめんなさい…ほんとごめんなさい…」
胸が苦しくて、気がつけば僕は泣いていて。
「もう…ほっといてくれよ。俺にこれ以上関わるな。」
そう小さく呟いて、山下くんは部屋を出て行った。
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