始まり

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山下くんが去った後、僕はその場から動けずにいた。 今、僕に残ってるのは山下くんに押された肩の痛みと、怒った表情だけ。 ただ僕は、山下くんと笑い合っていたかっただけなのに。 「僕、嫌われちゃったよね…」 呟いた瞬間、酷く胸が痛くてまた涙がひとつ落ちていった。 ――――――――――― 一晩経って、山下くんの表情が頭から離れなくて眠れなくて。 ちょうど今日は休みで、誰にも、…山下くんにも会わなくてホッとしてる。 きっとまた避けちゃうんだ、僕のこと。 そう思ったら、また涙が出そうになって。 ずっとこれの繰り返しで、切なくなってくる。 膝を抱えて丸くなっていたら、ケータイが震えだした。 画面を見ると、「錦戸亮」の文字。 僕は、恐る恐る通話ボタンを押した。
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