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「…もしもし?」
『おう!手越元気にしとるか?今待ち時間長ぅてコミュニケーション取ったろ思て電話したところや』
錦戸くんの優しい、明るい声を聞いたら自然と涙腺が緩みだしてしまった。
『どないしたん!?なんかあったんか?』
「っ…なんか、安心したら泣けてきちゃってっ…」
『…ピィのことか?』
「!!!!」
『…やっぱりか。最近の二人様子が変やったからなんかあったんかなぁっては思ってたんや』
なんで錦戸くんはいろいろわかっちゃうのかな?しかもちょうど僕が弱ってるときに、声をかけてくれる。
それが、うれしくて余計涙が止まらない。
「もっ…絶対嫌われたっ…どうしたら、いいかわからなっ…」
泣きじゃくって、なんて言ってるかわからない僕の話を静かに聞いてくれる。そして、しばらく間が開いたあと、錦戸くんが話し出した。
『ほな、ひとつ聞いてええか。…手越はどうしてそないピィにこだわる?』
「っ、それは…憧れの先輩だし、おんなじグループだし…」
『…ほんまにそれだけなんか?』
「え……?」
錦戸くんが言ってる意味がわからなくて、僕は正直戸惑った。
『ほんまは、もっと大きな存在になってんのと違うか?…』
――好きなんちゃうか?
え…?
僕が、山下くんを…
スキ?
どうして?
違いますよって、笑って返せないんだろう?
チリチリ灼ける様な胸の痛みと、やたら出てくる涙は…
スキだからなの…?
でも、こんな報われない恋どうしたらいいの?
電話を切ったあと、僕はやり場のない想いと、胸の痛みをどうしたらいいのか、わからなかった…
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