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「手越も明るなったかな思たら、いきなり倒れたり…苦しそうにお前見てたり…見てるこっちが胸が痛いねん」
「…………………」
「お前が手越をどない思っとるかなんて知らんけどな、殻にこもらんとしっかり手越を見てやりぃや…今のお前は自分しか見えてへんわ」
「…言いたいのはそれだけ?んじゃ俺行くから」
そうピィは吐き捨てて、俺の腕を叩き落としてその場を去っていった。
「…ピィのアホ。まだ引きずっとるんか…」
―――――――――――
昔ピィには好きな奴がおった。
臆病になるくらい、めっちゃ好きで。
めっちゃ怖くてみんなに相談しよった。
それがアカンかった。
相談したヤツらん中に、ピィを好きなんがおって。
そいつ、逆上してピィのあることないこと言いふらして。
「タラシ」とか「人を踏み台にして生きとる」とか…数え切れないくらいで。
そうしてみんな噂を鵜呑みにして、ピィの周りにはいつの間にか人が寄りつかんようになっとった。
そっからピィは、変わったんや。
言いふらされた通りの、「造られたピィ」になってしもたんや…。
―――――――――――
新しいユニットを組むことになって、きっと俺も含めみんな複雑に思ったに違いないやろう。
ただ、手越を除いて。
手越の様々なことに真っ直ぐ向き合う姿に、ピィも無意識に壁を消してた。
きっと、手越ならピィを変えられる。
俺はピィに元の優しかった姿に戻って欲しいって思っとるんやで…。
俺には不器用な言い方しかでけへんから。
ふう、と息をついて俺は部屋へ戻っていった…。
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