始まり

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――――――――――― 「んっ………」 目を開けると見慣れた自分の部屋で……… ええっ!!!! 確か僕は、公園にいてサッカーしてたらからまれてあちこち殴られて気を失って……。 軽く混乱してると、目の前にお母さんが。 「!!やっと起きた。ちゃんと山下くんにお礼言っとくのよ。仕事中に祐也見つけてわざわざ帰りに連れてきてくれたのよ」 「っ…ええっ!!や、山下くんがぁ!?」 驚く僕をよそに、じゃあ部屋に連れてくるからねとお母さんは部屋を出て行った。 「うぅ……」 複雑な気持ち。 ボコボコにやられた僕を見られるのが情けなくて切ない。 ―カチャ。 ドアの音と共に、現れたお母さんと山下くん。 じぃっとお母さんに視線を送ると、早くお礼を言え!!と目で言われたυ 「…すみません、助けていただいてありがとうございます。」 僕のお礼を聞いて安心したのか、お母さんは部屋を出て行った。 そして、山下くんとふたりきり。 どうしよ、この沈黙。 オロオロしてたら、山下くんが口を開いた。 「怪我、大丈夫か?」 「は、はい大丈夫です!!イタタ…」 「全然大丈夫じゃねぇじゃん。」 山下くんが僕を見てクスリ、と笑った。 「あ………」 「?どうした??」 「山下くん…笑ってくれたぁって思って。」 「………」 「あれから、山下くんにちゃんと謝りたかったんです。ひとりで浮かれて山下くんの気に障ること言っちゃってごめんなさいって…許して下さいなんて言わないけど、これだけは言いたかったんです。」 「…いいよ、別に。…それに俺、手越のこと勘違いしてたし。」 「???」 「…俺、上辺だけしか見てこない人間が大嫌いでさ。お前もそうやって上辺だけだと思ってた。」 「でも、俺の方がみんなを上辺だけで見てたかもしれないなって。手越を見て思い知らされた。」 「山下く……」 「ありがとう、な」 「っっ……」 なんか不器用で真っ直ぐな山下くんの言葉が嬉しくて、涙が零れた。 「わわっ…泣くなよ!」 「…うっっすみませぇんっ」 不器用だけど、優しい山下くん。 もっともっと素を出していけたら、山下くんの心が癒える日が少なからずそう遠くはなさそう。 僕はいつだって見守りますからね! end.
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