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山下side.
重い扉を躊躇いなく思いきり開けると、青白い顔をしてぐったりと床に横たわる手越の姿が見えた。
その周りに手越を痛めつけた奴らがいたけど、俺には傷ついた手越しか見えなかった。
そこからは、俺の記憶がなくなった。
「やめてください!!山下くん!!」
気が付けば、ボロボロになった奴らと必死な顔して俺の体を押さえつけるシゲ達の姿があった。
「おい、ブチギレんのは勝手やけどバレたら俺等もマズイねんで」
「ごめん、亮ちゃん…」
「シゲもシゲでなんでぴぃをちゃんと見てなかったんや!!」
「いやあの…マネに電話してる間に山下くんが…」
「ほう、言い訳するんか?」
「(ひぃいぃっυ)ご、ごめんなさいっυ」
「ま、とにかく早よここ出てマネたちに報告やな」
亮ちゃんは、ふうっとひとつ溜め息をついて先に部屋を出て行った。
その後に続いてみんなも部屋を出て、俺と気を失ってる手越の二人きりになった。
俺は手越の側に膝を付き、手越の頬に手を伸ばした。
指先に微かな温もりを感じて、俺の目から一筋、涙が零れた。
「こんなに弱いくせに…手越はバカだよ…」
この前だってそう、苛められようが決して助けを求めずにひとりで立ち向かおうとする。
どんなに自分が不利な立場にあったって、人前で弱音すら吐かない。
めちゃめちゃ弱いくせに、どうして心はそんなに強いんだよ…
「だからほっとけねーんだよ…」
服の袖で、ゴシゴシと涙を拭ってそっと手越を抱えみんなの元へと向かった。
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