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何も知らない母が帰って来る。
何もできないまま来週は今週になってしまった。
母がいつ帰って来てもいい様に部屋の中を片付けたり、
みひろがいないのを知られないように友達に電話をしたりしていた。
「うん、みひろが泊まりに行ってるって言ってて…大丈夫だょ?ごめん、ごめん、今度おごるからさ♪じゃあよろしく!」
「母さん……。」
母が帰って来るという喜びとみひろがいないのをいつまで隠せるのか、という不安で落ち着かなかった。
「ゆうくん、どうしたの~?お母さんいつ帰って来るの~?」
「明日かな?」
ともは鼻唄を歌いながら部屋の中を歩き回った。
コンコンッ…ドアをノックする音がした。
「はい…?」
ドアを開けると大家さんが立っていた。
「ゆうくん、お母さん帰って来たかしら?」
部屋の中を覗き込みながら言った。
「まだです…明日なら家にいると思います。」
「そう…じゃ、まだ明日来るのわね…お母さんに家賃がたまってますって言っておいてね。」
バタン…
「家賃か…払うの忘れてた…」サイフを見てため息をついた…ハァ…。
母から送られてきていたお金は家賃と支払い、生活費の為のお金だったんだ…。
きっと母が帰って来たら「えぇ、家賃払ってなかったの~?お家追い出されちゃうよ~?(笑)」そう言うんだろうな…。
母はいつもキツく怒るなんて事しなかった。
本気で怒っている所なんて見た事もない。
しっかりしてない母親だったのかな?
そんな事を考えながら明日が来るのを待っていた。
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