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僕はポケットから小銭を取りだし、電話ボックスに入り、お金の入った封筒に書いてあった番号に電話をかけた。
「プルルルルルル…カチャ…はい、高崎です。もしもし?…もしも…ガチャン!!…ツーツーツー。」
母さんの声だった。
けど、僕達の名字は高崎じゃない…。
ショックを受けながら電話ボックスを後にした…。
「ただいま…。」
うつ向いたまま玄関のドアを開け、部屋に入るとみひろの泣き声が聞こえた。
ハッ!!とした僕は急いでみひろの元に向かった。
「みひろ?」
顔を真っ赤にして泣きじゃくっているみひろ…「ともくんが叩いたぁ…。」
弟のともがオモチャを握りしめベソをかいていた。
「何があったんだ?」とともに聞くと、
「みひろがゆうくんがお母さん帰って来ないって言ってたってみひろが言うからぁ…。」
ゆうはため息をつきながら、「ともはお母さんもう帰って来ないと思うか?」と聞いた。
「お母さん帰って来るもん!!絶対帰って来るもん!!」
ベソをかいていたともがニッコリ笑って言った。
みひろも、ともも落ち着いたみたいだ。
「お母さん早く帰って来るといいな。」
そう言って微笑んだ。
二人はニコニコしながら僕を見て、「ゆうくん、ゴハンはぁ?」と言った。
「あ…みんなで出かけよっか♪」
困った顔で言った僕を二人は嬉しそうな顔で見ていた。
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