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それは帰国して黒蛇達の出生地へ彩と一緒に行ってきた日の夜の事。
千とイッサのマンションにお邪魔してから、昨日の様に彩の家に俺は泊まらせてもらった。
家と言っても実家なので当然両親が居り、付き合っている訳でも無いので、俺が寝る場所は来客用の座敷。
カップルのマンションから一人で俺にくっ付いて来た蛇が、何故かニヤニヤしながら、寝る支度をしている俺に話し掛けてきた。
『彩は一緒には寝ないのですか?』
勿論。
俺は泊めてもらってるだけだし、まだ彩の彼氏ってわけじゃないし、そもそもここは彩の実家だから。
『そんなものですか?
千は、一佐の実家に行った時は一佐の部屋に泊まっていましたよ。学生の内から』
そりゃ…
親から見れば同性の友達じゃ、なんの不思議もないでしょ…
『しかし、先程此処に来た時のご様子では、多々良は彩のご両親から既に恋仲と認識されている様ではありませんか?
一緒の部屋に布団を用意してくれようとしていたのを、敢えて断っていたのは君じゃないですか』
…五月蝿いなー…
そんなの人のかっ…
『何年も求愛されていて、実際の所一度も交わった事は無いのですか?
卒業旅行の際に同じ部屋に泊まられたでしょう?
その時にも何も無かったと?
だとしたら、随分と清い関係を貫かれてますね』
…ぅっわー…
こいつマジシバき倒してぇー…
『君は実際に喋る時と、私達の様な者と喋る時は態度が全然違いますよね』
まぁ…日本語だけね、口から言葉を発するとああなっちゃうだけで…
『ふ~ん。
で、実際未だに清い関係なんですか?』
え、なに?あんた俺に喧嘩売りに来たの?
『いえいえ、君は我々と対話の出来る貴重な人物ですからね。
珍しくこの私が興味を持ってみただけですよ』
相変わらず胡散臭い笑顔で黒蛇が笑う。
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