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僕達幼馴染みが菊音と仲良くなったのは、幼稚園の約3年間同じクラスだった伊代という女の子が、僕等が年中の時に、年少の菊音を連れて来たからだったと思う。
伊代(イヨ)と言うのは、僕等と同じ吉祥寺に住んでいた、
“男だらけだった幼馴染みの中に一番最初に入り込んできた女の子”
明るくて、子供ながらに気の利く優しい子で、誰からも好かれていて、特に僕等と仲が良かったと思う。
そして何故かうちの幼馴染み連中の事を「ちゃん」付けで呼ぶ。
そんな伊代が、「家の近所の子なんだよ~」と、ある日の幼稚園での遊び時間に菊音を引っ張って来たのが最初。
幼稚園の時の菊音は、目がくりっとした、少し大人しそうな可愛い子。
最初の内は恥ずかしかったのか、僕等の前では伊代にくっ付いて離れなかった。
それが段々慣れてきたら、よく話す様になって、可愛い顔で笑う様になった。
最初の時点で、完全に一目惚れだったと思う。
でもそれは僕だけではなくて、気付けば琉生と多々良も同様に。
3人揃って、菊音が好きだった。
思えば、3人共なんとも幼稚な事をしてた。
まぁ…幼稚園児なのだから仕方ないのだけど。
幼稚園に入るより前から、僕達は一番広い海瑠の家にみんなで集まって遊ぶ事が多かった。
そこに幼稚園の年少からは伊代が加わり、年中になってから菊音が加わり…
そこで執事さんが出してくれる美味しいお菓子を、菊音に率先してあげていた気がする。
いや、寧ろ「誰が分けてあげるか」を、琉生と多々良と3人で競ってたと思う。
席に着く時なんかは「誰が菊音の隣に座るか」の、椅子取り合戦も静かに勃発していた。
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