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それに真っ先に気付いていた伊代や海瑠のお姉ちゃん達に、僕等はよく笑われた。
「本当によくやるね~」
と…
それだけ、昔から菊音が可愛かったのだから仕方がない。
そんな中で、一番最初に明確なアクションを起こしたのは多々良だったと思う。
今でこそ緩い雰囲気の多々良は、昔は物凄く照れ屋で、幼馴染み以外と接するのが本当に苦手で…
偶に変な方向を一人でボーっと眺めていたり、ブツブツ独り言を言う妙な行動の目立つ変な奴だった。
今思えば、霊感の強い多々良なだけに、別に変に思う所も無いのだけど。
それを理解するには、当時の僕等は幼過ぎただろう。
それはさて置き、多々良がどんなアクションを起こしたのかと言えば、ストレートに
「好き」
だと菊音に直接言った事。
しかも幼馴染み達がみんな居る前で。
それに対しての菊音の返事が
「タタラくん、偶に変な事言ったり話し掛けてもボーっとしてたりするからちょっとヤダ」
という物。
菊音には特に悪気は無かったと思う。
素直に思った事を言ってしまっただけ。
多分菊音は、それを言った事も覚えてないだろう。
兎も角、多々良はこの時点でアッサリ菊音に振られた。
此方としては、一人ライバルが減った訳だ。
が、しかし
多々良がそうやって振られた事を海瑠だか伊代だかに聞かされたらしい、海瑠の姉さんの真緒ちゃんが、
多々良が振られた数日後に、海瑠の家にまた集まった際
「菊音は浅黄と琉生、どっちが好きなの?」
と直接聞いてしまった。
此方はなんの心の準備も出来てないのに…
悩むでもなくアッサリ返ってきた答えは
「ルイくんが好きー」
という台詞。
「えっ、そーなんだ!?」
「なんで?」
「ルイくんが一番やさしいから~」
双子のお姉ちゃんの台詞に、菊音が悪びれずそう答える。
それを言われた琉生は顔を真っ赤にしていて、
僕はその時点で「振られた」のだと感じた事を妙にリアルに覚えている。
それは僕等が幼稚園の年長に上がったばかりの頃の話。
その後は…
僕は少し落ち込んでいたと思う。
琉生が菊音を好きで、菊音が琉生を好きだったら、そこはもう両想いなのだから…
そんな僕に伊代がある時
「アサギちゃん、違うよ、キクネはね…
アイスクリームとケーキのどっちも好きで、どっちかと言えばどっちが好きなの?って聞かれたようなものなだけだよ」
と言った。
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