菊音と伊代

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あの“転校”の直前に突如再発して、いよいよ海外で手術を受けなければいけなくなってしまい… 結果、誰にも何も言えずに治療の為海外に行ってしまったのだと。 その話を聞いた時点では、無事手術も成功して、そのままアメリカで伊代は元気に生活してるとの事だった。 そんな昔の夢を見て、久しぶりに伊代の事を思い出した、僕等は大学生になった6月のとある日曜日 「伊代、元気にしてるかな~…」 いつもの様にバカップルのマンションにみんなで集まって、イッサが帰って来るのを待ちながら、ふとそんな言葉が口を吐いて出た。 彩以外の幼馴染み達が話に乗ってくる。 「懐かしいな~、そーいやぁどーしてるだろ?」 「全然連絡取ってないもんな! って言うか、連絡先一切知らないし…」 「子供だったからね… でも、父さんの話だと、病気も克服して元気みたいだよ。 って言うか凄いタイムリーなんだけど、昨日丁度父さんから、日本の大学に進学したみたいな話聞いて…」 「えっ!?マジで!?」 「なら会いに来てくれればいいじゃん!イヨの奴!」 「確かに。まさか忘れられてたりしないよね…?僕達…」 「それはないと思うけど… 今度父さんにちゃんと聞いてみる」 「聞いて!伊代ちゃんめちゃくちゃ会いたい!」 そう言いながら菊音が既に半泣き。 僕だって会いたいのだから、菊音なんか余計にだろう。 話を聞きながら、千が不思議そうに会話に混ざった。 「イヨさんとは? また新しい名前ですけど…」 「あれでしょ?うち等と同い年であんた等の幼馴染みの… 私も前から話だけは散々聞いてるけど面識無いんだよね~」 「おや?彩さんも知らないんですか?」 「知らない」 「幼稚園の時にアメリカに引っ越しちゃった子だからね」 「お…今度はアメリカですか…またグローバルな…」 「多々良と言い、な~ あ、ちょっとそれ居場所分かったらさぁ、イッサに内緒にしといて、伊代ここ連れて来て驚かせねぇ?」 「あっ、いいね、それ乗った」 そんな話をしている内にイッサが帰ってきたので、みんな伊代の話はそこで一旦終わりにした。 伊代がこの面子の中に入ったら… また賑やかになりそうだ。
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