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俺に話が無いなら、他に行って騒いでくんないかな?
『ああっ、ごめんね!
多々良に話があってここに居たんだよ!』
俺の心の声を聞き取ったカズサが、慌てて此方に話を振ってきた。
だろうな、とは思ったけど…
何の話?
ヒロさんの守護霊はどんな関係?
『この人はね、私の祖父なんだ』
カズサがヒロさんの守護霊を指してそう言った。
カズサの“祖父”にしては見た目が随分若いけど…
まぁそれはよく有る話。
自分が一番好きだった時の自分の形を纏う事はザラにあるので、その辺りは特にツッコミはしない。
それは兎も角…
お祖父さんなんだ…
ああ…随分前に言ってたね。
確かイッサが中学生くらいの時に…
陸の家に遊びに行ったら、あなたのお祖父さんに会ったって。
『そう』
『裕規が総太を車で迎えに来て、玄関先で少しだけだったがな。
そこで少しでもお互い感心持って話でもしてくれてれば、もっと早く接触出来てたものを…』
そんな無茶苦茶な…
『そうだね。
でも、爺様とは4、5年前くらいからよく会う様になったんだよ。
裕規が比較的ここと近場で奈緒と同棲し始めたから、偶に家に遊びに来てくれたりしてね』
へー…
『なのに裕規ときたら、実は一佐が美容室に勤めだす前から何度となく一佐にすれ違っておるのに、一度も一佐に感心を持ちもせんくてな』
何度となく?って?
ヒロさんが吉祥寺の美容室で働きだしてから?
『そうだ』
どんな状況で?
『勿論、裕規が吉祥寺の街中に遊びに行ってが主だが。
最近の話だと、千と一佐が駅で待ち合わせをしておって、出勤するタイミングでそこに遭遇した時か』
『合格発表の時だね』
『おお、そうか。
その時に二人が随分仲良さそうにしておってな。
奈緒がそれに気付いて、「あの子達可愛い!」と騒いでおったに、裕規は「え?どれ?見てなかった」とそのまま通り過ぎよって…』
そんな…ヒロさんに怒っても仕方無い…
あ、あなたも、ヒロさんの前世の人なの?
『いいや、儂は裕規の祖先にあたる』
おー…!マジかぁ!
あっ、じゃあ、孫のあなたもそういう事に…
『そうなるかな。
私の姉が子を持って、そこから繋がるんだそうだよ』
そーなんだぁ…へー…すごっ!
ヒロさんの御先祖様があなた達二人…面白いね。そんな巡り合わせって有るんだね~
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