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窓のすぐ外にある水仙が薄く広がる朝霧のなかで、その身を水鏡に映していた。
彼女はそれを眺めて、読む人のいない日記を綴った。
少女…いえ、私は大人になるまであの時に起こった出来事を教えてもらえませんでした。
あの日、兄様は町の外れにあった湖で溺死したそうです。
ですが、これはお父様が世間体を考えて事実を隠したものなのです。
その時に亡くなったのは兄様だけではありませんでした。
兄様は右手首に紐をくくりつけていました。その紐の先は、あの少年の左手首につながっていました。
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