Last spirit

始まりの季節

　花が散る。はらはらと、舞い踊るように、白い花びらが散る。純白とも言える色彩は太陽に照らされて、眩しく、だが雪のようにふわふわと宙で舞い踊りながら、景色を幻想的に彩る。

その凛とした姿は、可憐というより、清楚という言葉を連想させた。なよやかで儚い美しさではなく、すがすがしく強い美しさ。彼らはきっと、これから地面に落ちて汚れていくなどとは、露ほども思わず、実に潔く、惜しげもなく散るのだろう。

自分の、手の届かない場所で。

　そこまで考えた時、ペタ、ペタ、とのろまなリズムを刻んでいた樹里の足が、ついに限界だと叫んだ。荒い息のまま、ふらふらと壁に背を預ける。

「あーくそ……やっぱ…キツい…」

膝が、立つのもやっとなほど震えている。