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「あの、私、辞めさせていただきます。」
私、こと磯崎綾乃(イソザキ アヤノ)は言う。
「何だって!?……まあ、辞める辞めないは君の自由だ。だが、君は優秀な訓練生だぞ。辞める理由がどこにある?しかも、君はまだ小5だ。まだまだ活躍できるのに…」
そういい、驚きを露わにしたのが、曾我 辰海(ソガ タツウミ)である。
私が今いるのは、通称『地下教室』と呼ばれる施設の、いわば校長室的なところだ。
地下教室というのは、スカウトされた訓練生を訓練するところであり、分かりやすくいえば、スパイの子供バージョンってところである。
「……わかってます。でも、父が三月に転勤しますし、私も向こうの学校に転校しようと思ってるんです。向こうにも、地下教室の支部があるのは知っていますが、普通の女の子になりたいんです。ですから……」
「……わかった。君のような優秀な訓練生を失ってしまうのは実に寂しいが……しかし、まだ一月だ。最後にもう一つ、ミッションを引き受けてくれないか?」
六十をこえた貫禄のある声で言われては仕方が無い。
「わかりました。じゃあ、そのミッションで最後にさせていただきます。」
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