序章

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病院に着いてから警察にあれこれと聴かれた。実際はついて来なくてもよかったらしいのだが、友達だと口実を言ってごまかした。なにせ、こいつがうるさかったし…… 幸いにも大怪我には至らず、彼女は頭を数針縫う程度で済むらしいかった。 警察からも解放されてやっと一息ついた俺は"彼女"の「けど」について問い詰めようと思ったが――また誰かに邪魔をされてしまった。 「君が中田さんのお友達かい?ちょっといいかな?」 そう後ろから声をかけてきたのは白衣を羽織った若い男性だった。「神元」とある名札を付けた彼が医者であることは間違いないだろう。 「はい、そうですが……まだ何かあるんですか?」 「心配せずとも大したことじゃないからすぐに終わるよ」 そういうと神元先生は俺を連れて「精神科」と表示された診察室に入っていった。 せ、精神科?まさか俺、さっきの誤解されてる?!何も出来ない俺は促されるまま恐る恐る入室していった。
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