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「確かに"彼女"はそこにはいなかったんだけど、彼女の頭から白い糸が引きちぎられたようなのが出ていたんだ。そして、友達だとか言う君の頭からも白い糸が出てたんで、もしや、と思って声をかけてみたら案の定……」
するとまたしても"彼女"が急に――
『ちょっと待って!白い糸ってのも気になるけど、じゃあ私の声も聞こえているんじゃないの?』
"彼女"のその言葉を聞いて俺は先生を見つめた。
「どうかした?僕の顔に何かついてる?」
なんてベタな……って聞こえていない?
「いや、"彼女"の声が聞こえてないのかなって」
「僕もそのつもりで来たんだけど、どうやら君の心が強すぎるらしくて、"彼女"の存在があまり感じとれないんだ」
『ふーん、いやらしいことばかり考えてそうだもんね、キミ』
「なっ……!」
こんちくしょー!言いたいだけ言いやがって!
確かに妄想はするけど、5分に1回ペースでしかしないぞ!
「それが原因だね」
「せ、先生まで……」
いいんだ!俺は健全なる男子なんだ!
「先生~、次の患者さんの診察をお願いしまーす」
と、診察室の奥から看護婦さんの声がする。
「すぐ行くんで、ちょっと待っててくださーい」
朝からの疲れに加え、こいつの対応にも限界を感じた俺はいよいよ先生に懇願した。
「それはそうと、早く"彼女"を戻してやってくださいよ」
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