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この学校で噂というか、情報の伝達は一瞬である。
僕の情報と一緒にマールス先輩が契約を交わした情報はHR前には全高生徒に伝わっていることだろう。
だから、十中八九マールス先輩も僕の評価を聞いて契約破棄の方法を取ってくるに違いない。
ここの契約が簡単に結べるのは先に述べた通りだが、実はメイジの潜在能力に応じて精霊からアーティファクトがナイトに送られるのである。
そのアーティファクトは様々な方法ではあるが特殊な手順を踏まなければ与えられず、与えられない間に両者の合意があれば契約破棄が行えるのである。
もしかしたら……いや、確実にマールス先輩は僕にそういうつもりだ。
「契約を破棄してくれ」と
それでも僕はいいと思う。
元々僕は研究者志望である。
契約者がいる、最前線に送り込まれるような人間にはなりたくないのだ。
そんな事を考えながら屋上に向かう為に廊下を歩く。
すれ違う人全てから噂されているようで居心地の悪い事この上ないが、これも今日1日だけの事に違いない。
僕はそう自分に言い聞かせて歩調を速めた。
早くいつもの日常に戻るんだ。
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