0人が本棚に入れています
本棚に追加
「さっきの言葉は取り消しだ……マールス先輩は僕の、カイン・バレットの騎士だ!!誰にも渡さないし、傷つけさせない!!」
「馬鹿めが!!」
メギア先輩は叫びながら右手を上に上げる。
メギア先輩の周りに居たガラの悪そうな連中が一斉に腕を前に突き出した。
僕はそれと同時にパーカーのポッケの中にある直径1㎝弱程の鉄球を空中にバラ撒き叫ぶ。
「Angriff!!」
鉄球はガラの悪い連中に向かって飛んで行き、命中する。
その威力は少し顔を歪ませる程度の痛みがあるぐらいだが、魔法を阻止するにはそれで十分だった。
僕はその呪文にもう一つ詠唱を加える。
「Magisch Zusatz、Automatisch Abfangen」
鉄球は止まることなく標的にぶつかり続ける。
その間に僕はマールス先輩の拘束を解く。
「大丈夫ですか先輩!?」
拘束を外すと先輩は崩れるように僕に倒れてきた。
「すまない……迷惑をかけてしまったな……」
先輩の体は弱々しくて今にも崩れてしまいそうな感じがした。僕は泣いて謝りたい衝動を堪えて声を搾り出す。
「僕の方こそすみません……」
最初のコメントを投稿しよう!