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…いつもと変わらない朝。
巫女服に袖を通し袴をはき、身なりを整える。
雀がチュンチュンと鳴いている。
私は…今の生活に不満を感じている。
障子を開けて朝日を睨みながら、ため息をつく。
衣坐那戯之巫女
「…またいつもの朝。たまには、刺激的な出来事が欲しいものですね。」
また、深いため息をつく。
今日は村を回って、霊を払う仕事が待っている。
?
「…ため息ついていると取り憑かれるわよ。」
1人の巫女が私の目の前に立っている。
衣坐那戯之巫女
「別に構いませんよ。アブノーマルな生活をおくれるなら。そうは思えませんか、畏死乃巫女。」
畏死乃巫女
「思わないわよ…。そんなこと軽く言っていると、いつか後悔するわよ。」
彼女は軽く私の額を小突く。
小突かれた後、私は顔をしかめて彼女を睨む。
年はそう変わらないのに、姉のような感じで私に接していることに若干ながらも腹が立つ。
身長も彼女の方が高い。
見下されている感じもある。
朝からいやな気分になった私は、一刻も早く彼女から離れるために部屋を出て廊下を早足で歩く。
だが、彼女は私の横にぴったりくっ付いて歩く。
正直、うっとおしくてたまらなかった。
衣坐那戯之巫女
「…ついてこないでください。私は"1人"で少し修行をしたいんですが。」
"1人"をかなり強調して言う。
畏死乃巫女
「……あぁ、そう。なら、勝手にしなさいな。あ、仕事やるその代わり、明日、あたしの買い物に付き合ってね♪」
私は黙ってうなずく。
この村から出て町に行くことは私にとってとても楽しみなことだからだ。
神社から出られる時間はあまりない。
理由は父からの許しが中々でないから。
……母が作る結界の中で修行するか、寝て過ごすか、書物を読みあさるか…。
そんな選択しかなかった。
私はよく父の許しがおりたななどと思いながら、神社の裏手の山へと向かった。
ここは静かな森で、精神を落ち着かせるにはいい場所だ。
衣坐那戯之巫女
「……やはりここはいい場所ですね。静かで日常を忘れるにはいい場所です…。」
落ち葉の上に寝転がり、微笑みながら目を閉じる。
風が少し吹いて心地が良い。
そのまま、私は深い眠りに堕ちていった。
日が落ちて、辺りが暗闇に染まってくる時間…。
私はようやく目を覚ました。
衣坐那戯之巫女
「夜…か…。夜ぅ!?」
慌てて起き上がり、背中についた落ち葉を落とし立ち上がる。
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