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こんな夢をみた。
そこはとてつもなく真っ白で、その空間には俺、そして目の前には全身に黒を纏った男の2人だけしかいなかった。
男は今にも泣き出しそうな顔で俺の名を呼んだ。
『シズちゃん…。』
俺も男の名を呼んだ。
「…臨也。」
その男は確実に…間違いなく…臨也だった。
臨也だと確信したと同時に喜びという感情が流れ出し、自然と顔が綻ぶ。
それとは逆に、臨也の顔には苦しさが流れ出し、それを隠すかのような笑顔が貼り付けられた。
「…どうしたんだよ臨也…。」
なぜそんなに悲しそうなんだ…。
俺が臨也に触れようとした瞬間。
臨也と俺の間がガラス張りになった。
「!…何だよこれ…。臨也!!」
ガラスを思いっきり叩くが割れそうになかった。
俺の異常過ぎる力でも割れないガラス…。
腹が立つ。
目の前に好きな奴がいるのに…。
目の前に触れたい奴がいるのに…。
どうしてだよ!
「臨也!!」
どれだけ叫んでも触れられない。
こんなガラス一枚を割ることができない俺はなんて惨めなんだ。
そんな思いがゴチャゴチャになって心が張り裂けそうになった。
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