2/6
前へ
/8ページ
次へ
こんな夢をみた。 そこはとてつもなく真っ白で、その空間には俺、そして目の前には全身に黒を纏った男の2人だけしかいなかった。 男は今にも泣き出しそうな顔で俺の名を呼んだ。 『シズちゃん…。』 俺も男の名を呼んだ。 「…臨也。」 その男は確実に…間違いなく…臨也だった。 臨也だと確信したと同時に喜びという感情が流れ出し、自然と顔が綻ぶ。 それとは逆に、臨也の顔には苦しさが流れ出し、それを隠すかのような笑顔が貼り付けられた。 「…どうしたんだよ臨也…。」 なぜそんなに悲しそうなんだ…。 俺が臨也に触れようとした瞬間。 臨也と俺の間がガラス張りになった。 「!…何だよこれ…。臨也!!」 ガラスを思いっきり叩くが割れそうになかった。 俺の異常過ぎる力でも割れないガラス…。 腹が立つ。 目の前に好きな奴がいるのに…。 目の前に触れたい奴がいるのに…。 どうしてだよ! 「臨也!!」 どれだけ叫んでも触れられない。 こんなガラス一枚を割ることができない俺はなんて惨めなんだ。 そんな思いがゴチャゴチャになって心が張り裂けそうになった。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加