プロローグ

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そんなことを考えながら俺は眼下に広がる光景を眺め 「いつまで続くんだろう?」 と意味無き言葉を呟く いつまで?決まってる、終戦…戦争が終わるまで…だ そう考え、ふっと自嘲気味に笑う 分かってるなら何故呟いた?と そして、何故呟いたかも分かっていて尚、思考を巡らせる自分が酷く残酷に思えた 眼下に広がる光景……それは正しく'戦争'だった あるものは首が無くなり あるものは肉塊へと成り果て あるものは泣き叫び絶望に呑まれ果てる そんな光景を前に自分のことしか考えず、その上意味の無い呟きをこぼす自分に、酷く嫌な気分になる '自分のことなのに' 「なんで…こんな人間になったんだろうなぁ」 俺はこの呟きを日に一度はもらす こんな人間…とは先程から述べている通りだ 「…でも、今はそんなこと言ってたら…死ぬ……んだよね…」 覚悟が必要だ この戦争が始まり、傭兵団員として参戦して既に二月は経っているのに未だに覚悟すらできていないというのは、些かまずいきもするが、とにもかくにも、覚悟だ この戦争で俺はまた、ひとつ進んでしまう、平和から遠ざかり、死の権化のような'物'へと ……散々語っておいてなんだが…俺はただ怖いだけなのかもしれない、殺し殺されるのが…
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