プロローグ

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うん…きっとそうなのだ、俺は怖い、殺すことが…殺されるかもしれないことが、'力は人並み以上に有るけれど、経験が子どもと同等な'俺にはこの恐怖を消す方法がわからない そんな事を思っていると自然に体が震えてくる しばらくの間、俺は落ち着くために思考を中断させ、ボーッとしていた そろそろ落ち着いたか?といった頃、扉の方から微かに気配を感じた 「……誰だ?」 いくら平和大好きな野菜坊やでも、さすがに戦時中…それも激戦区である現在地、<グレイド西砦>の唯一、外からの狙撃が可能な物見部屋で警戒をしないほどアホではない そして、警戒をしている人間に気配を殆ど感じさせない人間は、同じく警戒をしている人間か、もしくは暗殺などを目的に潜入している<無影>位だ 更に現在、攻防を繰り広げているとはいえ、砦のなかで仲間に対して警戒をする人間は、余程人間不信でない限り居ない 「そこに居るのは分かってる…誰だ?」 呼び掛けに応えず沈黙を貫く敵らしき気配に、僅かに苛立った口調で強めに再度呼び掛けるマータム 「ふっ…腕を上げたな、クロイツ?」 二度目の呼び掛けに観念し姿を現した予想外の人物にマータムは少し驚きつつ警戒を解き 「団長!?なぜここに!?団長は本部で割兵の指示や諜報員の有無を確かめていたはずでは!?」 若干説明口調になりつつ、団長に詰め寄る
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