第1章

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…………やがて。 殺気立った気配とともに、黒い人影が紗雪のまわりに集まってきた。 遠巻きに半円を描き、大木を背に佇む少年を素早く包囲して身がまえている。 いずれも劣らぬ屈強な体躯の男たち……頭部から黒い狐耳が生え、黒いふさふさのシッポがあった。 刀の柄に手をかけて、紗雪は鋭い視線を四囲に走らせた。 敵の数は、ざっと数えて14、5人。 しかも、大物が数人、混じっている。 狐火だけでは倒せそうになかった。 紗雪は、静かに鯉口を切った。 静まり返った夜更けの境内に、チャキッと澄んだ音が響く。
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