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勝「うそ……だろ……」
結子の立つ魔方陣を見ると、驚くようなやつがいた。
鋭い爪を持ち、背中に生える大きな翼
尻尾と首は長く、その眼はいかなるものも恐怖させんとする
そう、結子の魔方陣に立っていたのは……
結子「ワ、ワイバーン……」
使い魔の中でも、最上級に位置するワイバーンであった。
「ブ、ブリザードワイバーン……ですか……。どうやら、すごい才能の持ち主ですね」
結子の監視担当であった先生がそう呟く。
「では、召喚は終わりです。戻っても良いですよ」
結子「はいっ!」
もう一人の先生にそう言われて、嬉しそうに戻ってくる結子
そりゃ最上級なんか出たら、誰でも嬉しいだろうな
結子「どう、やっぱり私ってすごいわよね~」
俺の前に立った結子がどうだ! と言わんばかりのどや顔を決めてくる。
勝「はっ! 何が最上級だよ。それぐらい、俺だって出してやらぁ!」
言ってから気がついてしまった。
最上級ってどうやって出すんだ?
結子「ふ~ん、じゃあ私のスノウよりも上を出してみたら?」
勝「ん?スノウ?」
結子「私の使い魔の名前よ。可愛いでしょ!」
さらに、ない胸を張ってどや顔を決めてくる。
勝「くっ、ネ、ネーミングセンスが……ククッそのまま……クッ」
結子のネーミングセンスの無さには、いつも笑わされる。
結子「な、なによ! これでもちゃんと考えたのよ!」
顔を真っ赤にしながら、結子は怒っている
勝「まあ、ぬいぐるみにピロちゃんってつけた時に比べたら、まだマシだろうな」
結子「い、今は、関係ないでしょ!」
勝「はいはい、落ち着……ちょっと待て結子。とりあえず、その二本指を下ろさないか?」
いつの間にか、握り拳ならぬ二本指を構える結子
結子「う、うるさーい!」
グサッ!!
勝「ギィヤァァァァァァ! 目が! 目がヤバイィィ!?」
俺は目を抑えて、ホールをのたうち回る。
てか、音が! 音がヤバかった!
結子「もう! あんたが余計なこと言うから!」
勝「そ、それだけで、この報いは理不尽すぎるぞ……」
まだ、痛む目を抑えて、ノロノロと起き上がる。
クソッ! 前がよく見えん!
福村「東畑勝、出てこい」
結子「ほら、呼ばれてるわよ」
勝「わかってらぁ! お前のせいで、前が見えねえんだよ!」
うっすらとしている視界と記憶を頼りに、俺はなんとか魔方陣の上にたどり着いた
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